「いわき」がした方がいいと思うこと。

災害復旧のスキームを考えていて、実際にボランティア団体の中に居て感じたことをまとめようと思います。
趣旨 災害復旧をメインフレームにして、一年間という年限で災害復旧及び支援を行って行く必要があります。 原子力発電所事故に対してのカウンターとして、スモールシティの実現を行い、地産地消を出来る環境と市民への安全で安心な食料の安定供給を行う。 市内の内的な充実を図り、市外の企業への寄りかかりからない、市の産業の独立。
ねらい 日本ではあまり例のないエコシティとして、スモールシティを実現することで、市内での地産地消という形で消費活動を市内で回すということを中心に行っていく。それに伴い、市民による労働力の内的な充実を災害復旧スキームにおけるコミュニティの充実を図り、経済的な拡大再生産を目的化するのではなく、市民の共同体の再生を行う。

現状でやるべきこと1 状況把握と共有 今がどういう段階で、何が必要なのかという状況把握が必要です。 現段階では、どこに困っている人が居て、どこを助ければいいのかわからない状態が続いています。 また、早急に全戸調査をするべきですが、それがなされていません。 職員で人手が足りなければ有償ボランティアを雇ってでも、各地区の状態を聞き取り調査でもして、それらをまとめて共有する必要があります。
2 災害復旧に対しての段階設定 上記の状況把握が済んだ時点で、この余震が続く中で、「いわき」がどういう形になっていくのかという段階の設定をしていく必要があります。
3 支援計画の策定 行政及び、市内のNPOが協働して、市内の地区ごとの支援計画を策定する必要があります。 それらの支援計画に則って、的確な支援をしていく必要があります。

4 雇用創造及び雇用促進 期限を切った状態でいいので、災害復旧を雇用対策の一環として行うことが必要です。 この市全体がダメージを負った状態からの復旧にはとても時間がかかることが想定されます。そのレベルは行政レベルで処理できる状態を超えていると言っていい状態であると考えています。 そこで、現段階で作られているNPOの活動を元に、地域支援や災害復旧における市民活動を有償化を行い、短期的ではありますが、雇用としていくという形をとり、地域の再生を行って行くことが復興への近道であると考えます。 「風評被害」というものに対しての対抗策としても、安心で安全なまちづくりは有効な手段であると考えられます。その素地を形成するのは、やはり地元の住民である私たちであると考えます。※市内の雇用対策の主なものとして、地域情報の収集、農産物のスクリーニング、学校や道路の安全情報、放射性物質の飛散データの収集など、様々な業種の創造が可能です。

5 地域コミュニティの再構築 被災状況により、避難所での長期的生活を余儀なくされている方々を含め、地域のコミュニティの再構築を行い、地区、地域ごとに必要な支援を集め、それに対しての活動を行る必要があります。 そのための一つの方法論として、地域のコミュニティを緩やかに構築する必要があります。 主には、地域ごとに複数の聞き取り調査及び、状況確認の担当者を置き、1日一回程度の情報更新を行うことで、地域情報の共有を行い、それらを利用したコミュニティの場を作っていく必要性がとても高いです。 あまり形式ばったものではなく、各地区のお茶場のような場所を作り、そこでのコミュニティ形成をしていくということが重要かと思います。 市街地に置いては、マンションなどの高密度住宅では、町会などの機能不全に起きているのが現状です。 これらを全て解消するのは、難しいとしても、ある程度の範囲で開かれた場所を置くことで、新しいコミュニティ形成は可能になるのではないかと考えます。lこれらのコミュニティを形成することで、現段階でいわきにおける被災者、非被災者間の格差の是正にも繋がると考えています。 現状いわき市には ・家屋が損壊し、失業をして、避難所に居る ・家屋が損壊し、仕事はあるが、避難所に居る。 ・家屋が損壊していないが、失業して、避難所に居る。 ・家屋が損壊していないが、失業して、自宅に居る。 ・家屋が損壊していない、仕事があり、自宅に居る。の、大きく分けて5パターンの世帯があると思われます。 これらのうちの半数以上が今後生活困窮者になっていくことが目に見えています。 その生活困窮者は既に震災から一ヶ月を超え、必要な蓄えがなくなってきている状態になっている現実もあります。 今後、この格差の拡大に歯止めがかかることはないでしょう。 そのためにも早急に雇用の拡大と災害復旧をセットにした雇用対策が必要であると考えます。
ここまでが、災害復旧の段階で必要なもの。
ここから、復興段階に入ります。
6 地域コミュニティを利用したまちづくり。 ロード店を中心とした、都市計画の見直しをしつつ、移動の負荷の少ない状態での地域の形成を行っていくことで、国道を中心とした高エネルギー消費の都市から、スモールシティの構築が可能になると思われます。 これらの形成においては、地域復興についての義援金を元に地域のあり方を見直して、「いわき」という都市を細分化再構築するという考え方は日本国内では新しい考え方となりますし、地方都市の再生シナリオとして、使えるものであると考えます。

7 企業誘致及び企業活動の支援策について スモールシティの構築の足かせになるのが、市外の企業や労働時間、ライフスタイルの多様化から、個人商店が長時間の営業を行わないと買い物に行けないという事態が発生します。 こういう事態を市外企業によるヒューマンリソースにより、解決する方法が都市を疲弊させる要因の一つになります。 大規模店は、ロード沿いもしくは密集地帯につくることで、コスト運用の利幅を稼ぐシステムになっていますが、個人商店の活動では実質的にコスト面があいません。それは商店ごとの得意分野を利用した形の商店構築だからになります。商店同士の連携を深め、商店のコミュニティ形成を行い、そのコミュニティで人を雇い、長時間の運営を可能にするという方法論、もしくは地元企業の大規模店との連携を深め、その中での販売経路の共有を行うということで解消可能だと思われます。

8 地域に対しての知識を深める 上記の段階まで、進む以前に土地に対しての意識や感覚、文化についての理解を進めるということも重要な要素となります。土地に対しての愛着を、言語化していくための知識や情報をしっかりと共有して、それらを後代に残していくということが必要になります。 そのために、地域に長く住んでいるお年寄りや有識者への聞き取りなどのこと。また、文化に対しての公教育の実践も必要となります。 一見、復興とは関係ないという感覚かもしれませんが、自分たちの足元にあるものを見ることで、この先にある未来を見る力を養い、先人に学ぶということが復興に対しての一助になることは間違いないことです。 他の地域における地域再生のモデルタイプも同様に過去の遺産から、どのように積み上げていくのかということがとても大きなヒントになってきます。
ここまでが、現段階のいわきにおける状態変化として、可能な範囲だと考えています。当然、原子力発電所事故問題についての状況変化や余震の状態などにより、変化が必要ではあると思いますが、概ねそれらを飲み込んだ状態でも、これらの段階を踏んでいくことが肝要かと思われます。また、風評被害という言葉を喧伝することで、より一層、差別や被害は増大し、雪だるま式に負債を抱え込んでいくことになります。今や他県では風評被害はビジネスになりつつあり、風評被害対策というだけで、より多くのお金を動かすことが可能になってきています。しかし、これらのお金がいわきに還元されることはありません。あくまでビジネスであるからです。市内での流通、消費をキチンと行うことで、そういったビジネスに巻き込まれずに生活の安定化をはかる必要があります。
今、いわき市が置かれている上記1の段階が終わってない状態です。これは非常に危険な状態です。全体として、数字による表明や管理が実数ではないのは、信用度を著しく下げていきます。今後も1年近く、市外からの支援を止めずに運営していくより他はないというのが私の見方です。そのために、市民全体が何らかの形でいわきの災害復旧においての役割を果たしているという公益と、支援してくれている側への公益のバランスを取っていく必要があります。それが、今後の長期に渡る災害の爪あとと、原子力発電所事故との折り合いをつけるための一歩になっていくと思います。
愚策ですが、思いつくままに書いてみました。そのために、何が出来るのかをもう一度考えないといけません。